MY STORYNo,16
GRADUATE
卒業生
Akao
Kanane
赤尾奏音
日本貿易振興機構(ジェトロ)
総合人間学部 卒業
大阪府立天王寺高等学校 出身
自転車で走り回った
日本列島。
京大だからこそ
出会えた
景色を胸に、
地域の課題に
アプローチ
「京大イチ自由な学部」という謳い文句に惹かれ、総合人間学部のオープンキャンパスに参加しました。企画も運営もすべて学生たちが取りしきっていて、キャンパス内には嘘偽りなく「自由」な雰囲気が広がっていたんです。当時の模試の結果はE判定で、向こう見ずの挑戦でしたが、受験の決意を固めました。
京大らしいアルバイト、利尻島での昆布干し
総合人間学部は文理を問わずに学べる学部。ゆえに同級生の興味の幅もとても広く、友人たちの「好き」の話を聞いているうちに私の世界も広がりました。でも、私はというと、なにか一つを追求するよりも、興味の赴くままに挑戦してできるだけ多くの経験を積みたいタイプ。自転車サークルのメンバーと3週間かけて北海道を一周したり、国際寮で留学生と一緒に暮らしたり、ニュージーランドに留学したり、思いつくかぎりの学生生活を満喫しました。根室岬、与那国島、波照間島、宗谷岬と、自由に行き来できる日本の東西南北の端の地すべてに降り立ったのは、ちょっとした自慢です(笑)。
なかでも強烈な思い出は、北海道利尻島での昆布干しのアルバイト。京大卒業生と地元漁師とが協力して、6月下旬から8月の昆布干しの繁忙期に京大生を派遣するプロジェクトです。島の空き家に10名前後が集まり、共同生活しながら働きます。参加のきっかけは、吉田南構内の掲示板に貼られた募集チラシ。時給の高さに心が動いたのも正直なところですが、自転車の旅で訪ねた利尻島が大好きだったのが即決の理由。島の中央にそびえる利尻山の存在感に圧倒され、いつでもこの景色が見られるよう、いまもスマートフォンのケースに写真を忍ばせているほどです(笑)。
利尻島にとって昆布干しは島民総出の大仕事。島民のみなさんと一緒に、朝3時から4時間ほどかけて昆布を干します。干し終わると、正午の手入れと夕方の回収以外は自由時間。オンラインで大学の講義を受ける人もいましたが、私はラーメン店でのアルバイトや、地元高校との交流に参加したりして過ごしました。島民の方が島の食材でつくる絶品の朝食も忘れられません。就職したいまも毎年夏に島を訪れて、昆布干しや夏祭りを手伝います。島での経験は一生ものの財産です。
背伸びしてもいい。まずは掴むことがだいじ
日本各地を実際に訪ね、地域それぞれの景色や食、人の暮らしを肌で感じました。過疎・高齢化などの地域の課題を目にすることも多く、地域活性化に寄与できる方法を探して日本貿易振興機構に入構しました。主として取り組むのは、海外企業の誘致。地方自治体や地元企業とつなぎ、雇用の創出や地域の活性化をめざします。ジェトロは47都道府県すべてと、国外55か国に事務所があります。学生時代のように興味の幅を狭めず、入構から3年めのいまはチャンスがあればどこにでも赴くつもりで、幅広い仕事に対応できる底力を身につけたいです。
「 届かない」と見上げなければならないものでも、背伸びして手を伸ばせば、案外届くことがあります。京大で出会った景色は、「E判定だから」と諦めていたら出会えなかったものばかり。思い切って手を伸ばして、悔いのない学生生活を掴んでください。
COLUMN
休日のすごし方
休日は、登山やキャンプなど、自然のある場所で過ごします。サーフィンもはじめました!
Recommend高校生のみなさんに手に取ってほしい作品
『夜は短し歩けよ乙女』 森見登美彦 著(KADOKAWA)
『鴨川ホルモー』 万城目 学 著(KADOKAWA)
京都大学出身の作家による小説です。
どちらも京都大学周辺を舞台に、主人公たちが青春や恋愛模様をくりひろげます。京都での生活に憧れるきっかけになりました。とくに『夜は短し歩けよ乙女』の学園祭のカオスなシーンには心惹かれました。1回生のときにNF(京都大学11月祭)で模擬店を出したのですが、小説の世界を実感できたのがうれしかったです。