MY STORYNo,14

GRADUATE

卒業生

Sasaki
Asami

佐々木恵梨
シンガーソングライター
総合人間学部 卒業
福岡県 福岡県立東筑高等学校 出身

INTERVIEW

地元の
海風に吹かれて、
紡ぐ音。
創作意欲を
ささえるのは
京都での日々

バイオリンを3歳で習いはじめてから、音楽はずっと私のそばにありました。これほど夢中になったものはほかにありません。その熱意がぐっと深まったのは中学のころ、アメリカのロックやポップスとの出会いでした。バイオリンやピアノを楽譜の指示どおり演奏することに、当時はすこしの堅苦しさを感じていたのですが、楽譜には落としこめないロックの表現に、「音楽はこんなに自由なんだ」と衝撃を受けました。

どっぷりと音楽漬けの大学生活

高校は進学校で、朝から夕方まで、さらには夏季休暇も勉強漬け。心身ともに窮屈で体調を崩したことも。息抜きは春の文化祭。校則の厳しい高校でしたが、この日だけはバンド演奏が許されていたんです。人前ではじめて歌ったのはこのときでした。
「なにを研究してもいい学部」という評判を聞いて、「それなら音楽もできそう」と総合人間学部に進学しました。勉強漬けの高校時代の反動で、音楽一辺倒に(笑)。軽音サークルに入ってバンドを組んだり、ライブハウスでアルバイトをしたり、四六時中音楽にふれる時間を過ごしました。
作詞・作曲にはじめて挑戦したのも大学時代です。所属サークルでは年に1回、所属バンドのオリジナル曲だけを集めたアルバムを制作します。私も仲間に加わろうと、鼻歌でメロディーをつくってみたのです。オリジナル曲を引っさげて、複雑な構成やリズムを駆使するポストロック系のバンドを組んで、活動しました。パソコンで音楽制作をはじめたのもこの時期。当時のバンドメンバーとは、いまも共同で作編曲をする仲です。ふり返るといまの私につながるたいせつな時間でした。

大学時代、サークル仲間と組んだポストロックバンドでは、音源制作をしながら、学内外でライブ活動に励んだ

未来を広げるには、多様な価値観にふれること

入社して2年、いまは医療・ヘルスケア分野を扱う部署で営業を担当しています。新規の協業先や投資候補先にサービスや事業を提案・交渉して、ビジネスにつなぎます。
医学系の院卒女性の採用は前例になかったと内定が出てから知りました。このユニークな経歴はいまでは強みです。営業先には大学や病院も多く、研究の話でもりあがることもしばしば。そんな私だからこそ、新しい風を起こせると感じています。
働くなかで実感したのは、ビジネスの世界と医療の世界とはまったく違う考え方で動いていること。それぞれを尊重しつつ、医療にビジネスの視点、ビジネスには医療現場の視点が加わればもっと発展できるはず。両者をつなぐ架け橋として、力を発揮することがいまの目標です。
研究一直線だった私が思いもよらない道を選べたのは、京大で多様な価値観と出会ったから。選択肢は自分の想像の範囲からしか生まれません。たくさんの経験をして視野を広げれば、未来はどんどん広がります。まずは、自分の興味を磨きに磨くこと。そのなかで出会った人や出来ごとが新しいs世界を見せてくれるはずです。

曲にバイオリンの音が必要なときには、自身でバイオリンを弾くことも

COLUMN

スタジオワーク中の一幕

おすすめの一曲

「BRITISH ROBOT」という曲の歌詞には、「ゲノム」や「ポスドク」などの言葉を登場させています。京大出身だからできた曲かもしれません。作曲には、京大時代の友人も参加しています。

Recommend高校生のみなさんに手に取ってほしい作品

『ちっちゃいおっちゃん──笑って学べる心のおべんきょう』 尾崎里美 著(カナリア書房)

人生をあきらめた青年が、自分の心に住む「ちっちゃいおっちゃん」と出会い夢と使命に気づく物語です。潜在意識や心のことがわかりやすく書かれていて、大学生のころに読んでとてもいい衝撃を受けました。いまでこそよく耳にする「自分を愛する」という考え方が浸透する前、そうした考え方とはじめて出会った本です。いま読んでもすてきな本。すべての人におすすめです。