みんなどうしてる?
育児、介護をしながらの、日々の研究活動のシーンでは、いろいろなお悩みが生じると思われます。
ここでは、男女共同参画推進センターが提供する情報、部局によるサポートなど、京都大学における現状と事例を共有します。
みんなの対応事例集
ニュースレター第91号(2020年7月15日)
長期履修制度②
ニュースレター「たちばな」第 88 号のコラムで、「長期履修制度」についてとりあげました(注 1 )。これは職業を有する等の事情がある学生に、標準修業年限の授業料で長期の計画的な履修を認める制度です。近年では出産・育児・介護を事情として認める動きが全国的に広まりつつあり、本学でも農学研究科、情報学研究科、工学研究科などで、育児・出産・介護を申請資格に含めた制度の導入が進みました(詳細は各研究科の HP からアクセスすることができます)。
多様な働き方、学びのかたちが模索されている今、大学(院)教育において選択肢の幅が広がることはとても意義深いことです。他方で、申請者の資格、申請時期、期間やその変更等に関してはルール(注 2 )が定められており、制度化・運用にあたる教職員と、制度利用を検討する学生の双方が、長期履修制度で何ができるのか、あるいは何ができないのか、具体的なイメージをもって進めていくことが肝要であるように思います。
在学途中に事由が生じたときには、休学制度と長期履修制度のどちらを選ぶか、検討が必要になるかもしれません。長期履修制度で在籍できる期間は最長で修業年限(途中の場合は残りの修業年限)の 2 倍となります。その間、登録単位数の上限はありますが授業を受ける、研究費を使うなど、休学時には認められない研究環境を十分に確保して学習・研究に励むことができます。保育所等の利用においても、休学を選択するよりも優位になることが予想されます。他方で、長期履修の期間は年単位で設定され、最終年次からの利用開始は不可である、期間の変更は(各研究科が認めた場合でも)一度に限られる、期間を一度変更した後には修了年度を変えられない、といった規定もあります。また現行では日本学術振興会の特別研究員に採用された際には、同制度を辞退することも求められています(注 3 )。休学制度では研究環境が確保できず実質的には一時中断を余儀なくされますが、期間は月単位であり、認められる期間内(研究科等によって異なります)であれば延長の回数は問われません。なお、特別研究員採用中に休学する場合は「中断」扱いとなりますが、その分の期間延長や、短時間の研究継続支援なども認められています。
介護や育児をしながら「自分のペース」で研究を続けるために、どういった制度が使えて、どう活用すべきなのか。周囲にいる信頼できる人(指導教員や家族など)とよく相談しながら、自身の研究人生やライフスタイルを構想していくことが大事だといえそうです。
注1 )http://www.cwr.kyoto-u.ac.jp/wordpress/wp-content/uploads/NewsLetter088.pdf
注2 )京都大学の申し合わせに準じて、各研究科等で長期履修制度の実施要領が定められています。詳しい規定は研究科等によって異なります。
注3 )「長期履修制度を利用している者は特別研究員には採用されません。よって、長期履修学生の申請は可能ですが、採用年度の4月1日時点において、通常履修に戻ることが必要です」とあります(https://www.jsps.go.jp/j-pd/data/boshu/dc_yoko.pdf)。