京都大学男女共同参画推進センター / Kyoto University Gender Equality Promotion Center

コラム

みんなどうしてる?


育児、介護をしながらの、日々の研究活動のシーンでは、いろいろなお悩みが生じると思われます。
ここでは、男女共同参画推進センターが提供する情報、部局によるサポートなど、京都大学における現状と事例を共有します。

 
みんなの対応事例集

                                    ニュースレター第89号掲載(2020年1月15日)

長期履修制度

 在学中に学業と出産・育児を両立することになった学生にとっては、標準修業年限での修了は難しくなります。また、親の介護を担うことになった学生にとっても、同様のことが当てはまります。

 留年するとなると、授業料負担が重くのしかかる上に、留年のせいで将来的に不利に扱われるかもしれません。そうかといって休学すると、休学中は授業を受けられず、研究費による旅費補助を受けての出張もできなくなるばかりか、保育所の利用が認められないおそれもあります。このような不利益は、経済的・身体的に重くのしかかるだけではなく、場合によっては、学業自体を諦めることにもつながりかねません。

 こういったジレンマが、もし長期履修制度が利用できたなら、解消するかもしれません。長期履修制度とは、大学(院)設置基準の定めに基づく制度で、職業を有する等の事情のある学生が、標準修業年限の授業料で長期の計画的な履修を可能にする制度です。ウェブ検索すると全国の大学(院)で導入が進んでいることが分かり、出産・育児・介護も事情として認められているところが多いと分かります。

 本学でも、この制度に関する上位規定があり、導入する準備はできています。しかし、実際に学生が出産・育児・介護を理由としてこの制度を利用するには、学部・研究科においてこの制度を運用するための規程が整備され、利用可能な事由として出産や育児、介護が挙げられている必要があります。農学研究科や情報学研究科など既に出産等を理由とした利用が認められているところがあり、工学研究科でもこの 10 月から同様の手当てがなされるなど、本学でもこの制度の導入は広がりつつあります。「京都大学 長期履修制度」で検索すると情報が手に入ります。

 学業と出産・育児・介護の両立は難しく、志半ばで学業の継続を断念する人が後を絶ちません。場合によっては、本人に意欲があるにもかかわらず、「育児・介護をしなければならない身で学生を続けるのは贅沢だ」とか「子どもがいる女性に研究は無理だろう」という周りの無理解のために、不本意ながら学業を諦めるケースもあるのではないかと想像されます。ケアが必要な人が身内にいながら学業を続けるには、たくさんのサポートとともに周りの温かい理解が必要です。家族や社会に支えられ、育児・介護をしながら学生を続けることが、ごく当たり前の風景になる時代が到来するよう願っています。

(文責 育児・介護支援事業WG 専用アドレス:ikwg@mail2.adm.kyoto-u.ac.jp)