“夫婦二人三脚+4人”で繋がる!
甲山 治
東南アジア地域研究研究所
研究内容:水循環と人間活動の相互作用/インドネシア・熱帯泥炭地における気象・水災害の改善
京都大学探検部で山登り、防災研究所で水文・気象観測とモデリングを学び、現在はインドネシアをメインに地域研究,とくに気象と水に関係する減災に取り組んでいます。
モットーは、親も子供と一緒にたのしむ!!
広島出身ですが、19歳から、吉田周辺に住んでいます。だから近所の人とも顔なじみ。最近まで、近所の方からまだ学生やってるのかと声を掛けられていました。子どもが産まれてからは、夜は早く帰るようになりました。仕事で出張予定を立てる時も、保育園や小学校のイベントを考慮しています。
小児科医の妻との間に、長女の紅(10)を筆頭に、次女翼(8)、三女湊(6)、長男丈太郎(3)の4人の子供がいます。
妻との馴れ初めは、博士課程修了時に職が決まらなかったこともありバックパッカーで友人を頼って沖縄へ。その友人にも持て余されて近くの離島へ行ったところ、妻がそこの診療所で働きながら相手をしてくれました。行きてのない離島で頑張っていましたね。
2009年度に、1年間ジャカルタ連絡事務所に赴任した時は、長期の海外出張だったので、家族を帯同しました。当時、大気汚染と交通事情で散歩ができず、子供のストレスが溜まって大変でした。頭脳循環というプログラムでも海外赴任をしたのですが、帰国後に再入園しようとした保育園では三女は入園まで2か月待たなければならず、おんぶ紐で背負って講義しました。
日常生活からの出張
平日の家事分担は、夫が保育園の送迎、夕食作り、妻が洗濯と朝食作り。
毎月のように海外出張が入っているので、その時は妻が忙しくなります。
出張には、国内外を問わず1年に一度は子供を一人ずつ連れていきます。今でも海外へ子供を連れて行くときは、小児科医の妻に薬品などの準備を手伝ってもらいます。私自身は海外で病院にかかることもあるのですが,子供達には妻の遠隔の指示を頼りに薬を処方することが多いです。それでも、私が海外で妻の仕事が忙しい時は、年に4,5回ほど、妻の母に応援に来てもらいます。沖縄からなので来てもらうのが大変ですが、良くお願いしています。いろんな方の協力は育児には不可欠だと強く感じています。
子育ては大変ですが、子どもを介して出会った人たちや参加した行事から、少しは地域を理解できたような気がします。その中で、この年になると新しい友達は作りにくいのですが、保育園や学童保育園で出会った父親たちと一緒に「おやじの会」を8年も続けていることが大切に思えます。
子育てに参加してこその収穫ではないかと思います。
地域のことを理解するためには育児で苦労した方がいい
同僚の多くが地域研究者であり、子育てに対する理解度は他の部局に比べて高いと思います。休日開講のセミナーに子供を連れていくことも多いです。
自分の発表時は近くの教員や学生にみてもらっています。そうやって部局の中で無理せずセミナーに参加できることは、今までの研究所の取組の成果でしょうか。
子育て経験者の上司からは「地域の事を理解するためには、育児で苦労した方がいい」とエールをいただいています。
職場の一室を借りて、外国人研究者や留学生・学生たちとの飲み会も、子連れで参加します。子連れだと一次会で切り上げて帰宅することが多いのですが、そのおかげで生活リズムが保たれているのだと思います。夕方、学生と職場の前の鴨川でランニングをするなど、子育ての合間を縫って運動することも心がけています。
若い世代へのメッセージ
子育ては、自分の仕事や研究に充てる時間を制限することにあるかもしれません。が、それ以上に得られる多様な経験が大きいと思います。
現在の仕事について
研究者を目指した理由:
世界各地の特有な自然を相手に、実践的な仕事がしたかった。
研究内容:
インドネシア・スマトラ島の熱帯泥炭地をターゲットとして、地域住民を巻き込んだ災害リスクの抑制と生計向上に関する研究を行っています。中央アジア・アラル海流域においても、バイオマス資源の持続性を検討しています。
研究テーマを選んだ理由:
地球規模の環境問題として重要であるにもかかわらず、なかなか解決が難しいから。
研究で心がけていること:
京都の研究所ではなく、海外の現場で様々な人と議論することで問題解決を目指しています。
今後の目標:
海外の現場で働いている姿を学生だけでなく子供達にも見せたいと思っています。その一環として、CSEASオンライン動画プログラムとして一部を公開しております。
興味のある方は、一度覗いてみてください。
https://onlinemovie.cseas.kyoto-u.ac.jp/
学内および公的制度やサービスの活用
子供達は京都市の保育園、沖縄県の保育園や幼稚園、海外など様々な地域で支援を受けました。京大病児保育室には、長女と次女がお世話になりました。逆に2015年当時京大保育園入園待機乳児保育室は予算の都合で女性が優先されており、「男性は京大ではなく母親の勤務先にお願いしてください」と言われ、逆に保育園からは「京大に勤務されている方は入園待機乳児保育室を利用してください」と言われ、仕方なく遠く離れた民間の一時保育施設2ヵ所を利用しました。今は男女の違いは改善されているのでしょうか?
「今は大丈夫です!(センタースタッフ)」
=取材を終えて=
写真撮影の際に笑ってくださいとお願いすると、はにかんでおられました。先生の真面目な飾らない性格が笑顔あふれていました。
奥様のことを話されるときは、決まって「妻はどう思っているかわからないけど」と連発されていました。4人の子育ては本当に大変でしょうし、夫婦の協力なくして生活が成り立つはずもありませんが、相手を思いやる夫婦二人三脚のバランスが大事だと感じました。