京都大学男女共同参画推進センター / Kyoto University Gender Equality Promotion Center

センターの活動

真っ白な紙に、ジェンダーが抱える課題を書きこむ学生たち。
「待機児童の問題は?」「男性優位の風潮をいかに解決するか」
グループディスカッションのテーマはズバリ、「どうすれば職場の男女平等が達成可能か」
学部や学年の垣根を超え、意見を戦わせる学生たちの視線は真剣そのもの。
「GDPや生産能力ばかりに視線がいきがちな日本でしたが、社会は変わろうとしています」と稲葉カヨ教授。
その言葉を聞きもらすまいとペンを走らせる学生たちの表情には、男女共同参画実現に向け、強い意志が宿っていた。

新しい社会創出に向け
学部や学科を超えて対話する

学生も教員も分野を超えて対話する。これが京大の学風です。
男女共同参画社会の一刻も早い実現が望まれるいま。「ジェンダーに関する問題」の授業では男女共同参画推進センター長の稲葉カヨ教授を講師に、グループディスカッションを展開。「女性と同様に、男性もしっかりと育休をとり、男女間のキャリアパスの差が広がらない仕組みをつくる」「アファーマティブアクションとして、職場のポストを男女一定とし、次世代の意識改革をはかる」「多様性を認め合う社会へ。必ずしも仕事につきたくない女性は専業主婦となるなど、自由度の高さが必要」など、さまざまな視点から新しい社会づくりに向けた意見が発表されました。
自由な場で、白熱した議論を交わしながら、思索を深める。それが未来へのイノベーションにつながることでしょう。

女性管理職に向け教育するためにもアファーマティブアクションは意味がある 男女共同参画推進センター長 稲葉 カヨ
男性社会のなかでは、役職をもつ男性が圧倒的に多かった。これは能力のある男性を昇進させるために育てていくという仕組みが企業の中にあるからです。昔のように女性は事務だけ、お茶くみだけ、という環境には、女性の管理職をいかに教育していくか、という土壌がありませんでした。だからこそ、一定の数の女性を雇用し、適性に応じた職種を経験させながら、リーダーを育てていくという視点が重要だと思います。
能力のある人たちを高いポストにつかせるためには、一定の期間をかけて教育する必要があります。女性に雇用の機会を優先的に与えるアファーマティブアクションは、そういった側面からも、意味あるものだと思います。

能力に応じた雇用や仕組みづくりが必要とはいえ、育児は女性が向いているかも 経済学部 2回生 瀧本 哲也
銀行員として実務を積んできましたが、理論的なことを勉強したいと思い、59歳で京大に入学しました。いまは、吉田寮で京大ライフを満喫しています。ジェンダー問題に関しては、能力に応じた雇用や社会的仕組みをつくる必要があります。とはいえ、わたしは男女に違いがあって、育児は女性がしたほうがいいと思っています。この授業で、若い人たちの意見を聞き、自分の考えを確認したいと思っています。

男女共同参画は、だんぜん肯定派!将来は、憲法系の弁護士に 法学部 4回生(当時) 比舎 昌志
日本はまだ男性優位という意見が多くを占めていますが、そうした認識は淘汰されるべきですね。そうなってこそ、ジェンダー問題は解決するのだと思います。ぼくの両親は共働きで、ぼく自身はおばあちゃん子、おじいちゃん子。温かい家庭環境のなかで、のびのびと育ちました。三世代同居の良さも知っています。将来は、憲法系の弁護士になりたいと思っています。

「そうなのかもしれない」気づかせてくれた、先生の一言 教育学部 2回生 中来田 敦美
社会は「男女共同参画」「男女平等」と謳っていますが、根本的な意識を変えないと変わらないのだなと感じており、ディスカッションを通じて考えを深められるのではないかと思ったため、受講しました。ディスカッションのなかで、いろいろな考えがあるのだなと感じたとともに、「その考えは、どちらも多様性を重視した意見では」という助言を稲葉先生からいただき、自分ではまったく気づきませんでしたが、「そうなのかもしれない」と感じました。