キャリアストーリーを知る女子学生インタビュー
大学生活はチャレンジの連続。そのさきに想定外の未来が拡がる
山田 千聖さん
農学研究科 修士課程2回生
さいたま市立浦和高等学校 出身
関東出身の私が京都大学を選んだのは、個性豊かなおもしろい人と出会えそうだから。一人暮らしへの憧れもありました。京大に抱いていたイメージは、いわゆる「天才肌」の人がたくさんいるのだろうということ。しかし、入学後に友人と接するなかで気づいたのは、一見「天才肌」に見える人であっても、その裏側にコツコツと積み重ねた努力があることです。勉強量の違いに衝撃を受けて、私も努力しなければと奮い立ちました。
興味があればなんでも挑戦
新しいことへのチャレンジは楽しめるタイプです。経験した課外活動は数えきれません。農業体験のサークルのほか、アルバイトも塾講師や接客業、寺社の受付など、興味の赴くままに経験しました。
物事への向き合い方を変えてくれたのは、ジェンダーについて考える団体に入ったこと。対話をとおして、女性をふくむマイノリティの経験を共有していると、周囲の理解があり、経済的な心配が少ない自分の環境は、恵まれているのだと気づいたのです。
この団体では、パートナー間の価値観をすり合わせるためのウェブサービスを考案し、サービス提供までこぎつけました。協力者にヒアリングして、ニーズを把握しながらサービスの質を高めたのですが、提供後に直面したのは「お金を出してサービスを利用する」側、消費者目線でのシビアさ。課金ユーザーが思うように伸びず、サービスは撤退となりました。挑戦は「失敗」に終わりましたが、サービスを生みだす楽しさを知る経験でした。
研究に没頭できる最後の1年を悔いなく
ジェンダー団体での活動や、スタートアップ企業を支援するベンチャーキャピタルでのアルバイトなどの経験をへて、研究職以外の進路への興味が生まれ、研究職以外の職種で就職活動をしています。「研究したりない!」と進学した大学院ですが、研究に没頭するのはこの1年が最後になるはず。成果を出して、悔いなく区切りをつけたいです。
研究対象はカブリダニです。研究職には進まないと決めた直後は、モチベーションの維持に苦労しましたが、ふたたび研究の魅力に気づかせてくれたのは小さなダニの生態のおもしろさでした。
ダニというと布団にいるダニや血を吸うダニが思い浮かびますが、私が研究しているカブリダニはいろいろな害虫を食べてくれる「いいダニ」。このダニをうまく活用すれば、人間の暮らしに役だつ存在に変わります。たとえば、化学農薬の代わりに農地に散布すれば、農作物に悪影響をもたらす害虫を駆除する「生物農薬」となるのです。小さなダニがもつ大きな可能性に魅了され、私たちの研究室では観察や実験をとおしてダニの生態を解明しようと向き合っています。
めざす姿に出会う旅の途中
受験勉強のときは、京都大学の偏差値の高さに気後れし、「私とは縁のない大学だ」とあきらめかけていました。でも、いざ試験問題を見てみると、「あんがい解ける問題があるぞ」と気づき、力が入りました。京都大学に惹かれるものがあるのなら、あきらめず、まずはスタートラインに目をこらしてほしい。
かくいう私も、ふたたび新しいスタートラインに立っています。将来、どんな自分になりたいのか、めざす姿はまだあいまい。たくさんの人と会って話を聞きながら、将来像の輪郭をすこしずつ描いている最中です。これまでの分岐点では、ワクワクするかどうかが指針でした。このさきの人生のどこにワクワクが眠っているのか、道を絞らず多方向に目を配ってワクワクを探しています。挑戦のさきには想像以上の出会いが拡がっていると信じています。
京都のすごし方
京都の街はコンパクトで、自転車があればどこにでも行けるのが魅力。お気に入りは熊野神社近くにあるジャズ喫茶「ジャズスポット ヤマトヤ」。毎週といってよいほど通っています。クラシカルな店内でゆったりとすごせることがお気に入り。