キャリアストーリーを知るOG社会人インタビュー

「まずはやってみる」から答えが見つかる
私の使命はシゴトでココロオドル人をふやすこと

仲 暁子 NAKA Akiko

経済学部 経済経営学科 卒業
千葉県出身 タマテア ・ハイスクール卒業(ニュージーランド)
Wantedly 代表取締役CEO

自信を持って臨んだ
留学で待っていたのは暗黒時代

子どもの頃から両親に連れられて海外に行く機会が多かった私は、親の姿を見て「英語が話せるということは世界が広がるということ」だと思い、中学卒業後に留学することを決意しました。昔、母親の仕事の関係で1年間アメリカに住んだ経験から、ヒアリングに自信を持っていたので、英語が得意だと自負していました。自主的にさまざまな資料を取り寄せて検討し、結果的に選んだのはニュージーランドの高校でした。しかし、実際に暮らし始めると愕然としました。日常会話はできても、ユーモアを交えた会話はできず、ネイティブの人と上手くコミュニケーションをとることが難しかったのです。
そんな高校生活は、私の中では暗黒の時代といえるかもしれません。中学時代は学級委員を務めたり、クラスの会話の中心の方にいました。しかし留学をして、思いどおりに話せない自分が、一気に中心的存在から転落してしまったのです。それを悔しく思った私は、成績で取り返すことを心に決めました。

悔しさをバネに必死で勉強̶̶努力は報われる
ニュージーランドの高校生は、国内統一の高校教育認定資格を取得します。これは国内や他国の大学に進学する際に、判定基準となる重要な資格です。タマティア・ハイスクールでは、卒業セレモニーでその首席を発表するのですが、悔しさをばねに、人一倍勉強に努力した結果、私の年次では自身が名前を呼ばれることとなりました。誰もが認める天才肌の生徒をおさえての首席ということで、それは大変嬉しく、確固とした自信に繋がりました。「勉強しかしていない」といっても過言ではないほど、ガリ勉で過ごした3年間は、苦労した時期ではありましたが、努力は報われることを実感し、メンタリティを鍛えることができた貴重な時間でした。
卒業後の進路を決めるにあたっては、先生方にアメリカの大学を勧められましたが、悩んだ末に京大を選びました。海外で暮らしていると、程度の差こそあるものの、やはりアジアへの区別を感じます。大学でもう一度その足枷をはめるよりは、何もないフラットな状態で勝負をしてみたいと考えたのです。また、日本を長く離れていたので、日本的な場所に住んでみたいという思いもありました。

0から1を生み出すことに挑戦し続けた大学時代
日本とニュージーランドでは卒業時期にズレがあるため、帰国してから半年ほど予備校に通い、帰国子女枠で京大を受験しました。経済学部を選んだのは、その頃からビジネスに興味があり、経営を学びたかったからです。そして入学後はいろんなことに挑戦しました。
1回生の時には、スポンサーをつけたミスコンを企画したり、京大生向けのクーポン付きフリーペーパーを創刊したりしました。2回生では運営資金を稼ぐことやビジネススキルも磨くため、京大OBの会社に通い詰め、アルバイトとして企画から営業まで行いました。初めて起業をしたのもこの頃です。この会社は、最終的には方向性が定まらず空中分解してしましたが、「起業は手段であって目的ではない」という貴重な教訓を得ることができたと思っています。
当時、私が行っていたのは0から1を生み出し、それを売り込むことです。ビジネスにおいて、経験値は基礎体力となるため、早く始めれば始めるほど有利になります。そういった意味で、人より長くキャリアを積めたことは、アドバンテージになったと感じています。

「好き」を仕事にする幸せ。そんな人を増やしたい
卒業後はゴールドマン・サックス証券に就職し、海外機関投資家向けの営業を担当しました。優秀な人が多く学ぶことも多かったのですが、金融機関の業務は1を10や100にするのがミッションです。私が人生をかけてやりたいことを考えた時、やはり0から1を生み出したいと思いました。そして2年弱で退職し、夢だった漫画家を目指したり、Facebook Japanの初期メンバーとして参画した後、26歳でWantedlyというサイトを立ち上げ、同名の会社を設立しました。
Wantedlyは、「であう・つながる・つながりを深める」を柱としたビジネスSNSです。求職者と企業のマッチング、長期的な人脈の構築、ビジネス専用チャットの提供などを行っています。現在の利用者は月間200万人。それだけの人に影響を与えているというところに、とてもやりがいを感じていますが、もちろん全てが順調なわけではありません。それでも起業を後悔しないのは、好きなことを仕事にして、日々、仕事で心を躍らせているからです。Wantedlyを通して、私のような「シゴトでココロオドル人」をもっと増やしたいと考えています。

上司・同僚からの一言

川崎 禎紀さん(ウォンテッドリー株式会社 取締役CTO)

弊社代表の仲は、非常に多彩で多様な側面を持っている人間です。あるときはビジョナリーとして会社のミッションを熱く全社員の前で語り、またあるときはプロダクトオーナーとして新製品のユーザ体験設計を考え抜き、そしてまたあるときはビジネスリーダーとして海外展開を先導し戦略立案をしています。7年間共に働いていますが、度々驚かされます。

インパクトの最大化

Wantedlyのミッションは、「シゴトでココロオドル人をふやす」ことです。「ココロオドル」とは「没頭することで成果を出し、成果を出すことで成長を実感する」ことを意味するのですが、そういったユーザーやクライアントの数を増やすため、私は常に「社会に与えるインパクトの大きさ」を考えています。その最大化を目指すには、現在の会社規模ではまだ小さいように感じています。今後は事業の拡大を通じて、もっと「シゴトでココロオドル人をふやす」ことが目標です。

こうやって勉強してました

宿題が比較的多い学校だったので、毎日、渡された問題 集をひたすら解き、採点して学校へ持って行っていました。また、次の日に学習する範囲を予習し、実際に問題を解いておくことも、毎日やっていたように記憶しています。しかし、私にとっては言葉が話せないことが何より悔しかったので、英語は本当に勉強しました。今もよく聞かれるのですが、英語力を伸ばす一番の方法は、とにかく単語を覚えることだと思います。私の場合は、難解な単語帳をベッドの横に置き、1日10個覚えるというノルマを課していました。単語帳が擦り切れるまで何度も読み返し、着実に単語力を身につけたことが、今の英語 力に生きていると実感しています。


今のうちから時空、つまり時間と空間を広げることを意識してください。時間を広げるとは、書籍から過去を知り未来へと思考を繋げること。空間を広げるとは、今いる場所に留まらず積極的にいろんな場所に出向くことです。その経験はきっと使命の発見に繋がります。命を使うと書いて使命。人の人生をなぞるのではなく、自分で命の使い方を決めてください。