キャリアストーリーを知るOG社会人インタビュー

想定外への挑戦で見つける自分の道。総合大学だからこそ広がった価値観

堀井 詩織 HORII SHIORI

農学部 卒業、農学研究科修士課程 修了
京都市 京都女子高等学校 出身
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社

 高校生の私にとって、京都大学は手の届かない遠い存在でした。高校時代はコーラス部の活動に熱を入れていて、進学について考えはじめたのは高3の夏。京大を受験するとは決めましたが、焦りは強く、高校の門が開くと同時に登校し、閉門時間まで勉強に励む毎日でした。

価値観を変えたインターンシップでの経験
 遠い存在であり、「変人」のイメージのある京大でしたが、入学してみるといい意味で「ふつう」の人が多い印象を受けました。学問への興味・関心はもちろんのこと、趣味も豊富で、なにごとにも好奇心旺盛。みずからの思いや考えを伝えるコミュニケーション力と行動力に長けた明るい人たちとたくさん出会いました。
 価値観が変わったのは、修士1回生のときに参加した化粧品会社での2か月間のインターンシップ。大学時代の専攻は食品科学ですし、商品開発の仕事に興味があったのですが、配属されたのはマーケティングの部署でした。すでに形になっている商品を前に、いかにこれを消費者に届けるのかを考えなければいけない。これまで勉強には自信があって、試験の成績で評価される世界に身を置いてきましたが、ビジネスの世界はそれだけではやっていけないことを痛感しました。発想力やコミュニケーションの力など、これまでとは違う能力が求められる世界を目の当たりにして、視野が大きく広がったのです。

大学時代はダンスサークルに所属。京都大学の11月祭にむけて練習に励んだ。曲目選びや後輩へのダンスの指導、衣装制作など、できるかぎりを自分たちで運営した。アルバイトもカフェやレストランなど、多数経験。「印象的だったのは海外からの観光客むけのゲストハウス。英語で受付をしたり、京都のおすすめスポットを紹介するなど、京都ならではの経験が思い出深いです」

進学先も就職先も、飛び込んでみなければわからない
 卒業後は、コンサルティング会社に就職。化粧品やアパレル、自動車などを扱うメーカーの新規事業のサポートや、ECサイトの改善提案など、マーケティングやコンサル業務を担当しています。
 大学での学びとは、まったく異なる分野に足を踏み入れましたが、じつは就職活動の第一志望は大学での学びを活かせる食品業界や化粧品会社でした。でも、うまくいかなかった。そんなときに助言をくれたのが、学生時代にダンスサークルで熱い日々をともに過ごした法学部出身の友人でした。「コンサルはどう? 向いていると思うよ」と、凝り固まった考えをほぐしてくれたのです。文系学部の学生とも一生ものの関係を築けるのは、京大が総合大学だからこそです。
 将来は、メーカーに転職して、消費者に近い場所で力を発揮したいと考えています。コンサル会社での勤務をとおして、扱う商品や業種、規模も違う多様な会社を見てきました。これはきっとメーカー勤務では経験できなかったことです。大学も就職先も、外から見えている姿はごく一部。入ってみなければわからないことばかりです。自分の可能性を狭めず、たくさんの人と交流しながら、選択肢を広げてください。

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休日のすごし方

入社前はコンサルティング会社には忙しいイメージがありましたが、フレックス制の勤務体系をいかして、柔軟に楽しんでいます。平日の仕事終わりはジムに通って身体を動かしています。美術館に行くことが好きで、休日は作品を見て英気を養います。

高校生のみなさんに
手に取ってほしい作品

『プラダを着た悪魔』デヴィッド・フランケル 監督
世界的ファッション誌の編集部で働くことになった主人公が、「プラダを着た悪魔」と呼ばれる編集長にふり回されながらも奮闘し、成長する姿を描く映画です。私も主人公と同様に勉強ばかりしてきましたが、社会に出たとき、自分の発言の受け取られ方を考える想像力やコミュニケーションの力の重要性を知りました。影響を受けた映画です。