キャリアストーリーを知るOG社会人インタビュー

望遠鏡をのぞいて見つけた大きな夢。技術を極め、宇宙業界をけん引したい

堀内 怜実 HORIUCHI SATOMI

理学部 卒業、理学研究科修士課程 修了
兵庫県 神戸女学院高等学部 出身
三菱電機株式会社 情報技術総合研究所

 高校時代はバレーボール部で、練習漬けの毎日でした。数学と理科科目が得意でしたが、学びたいことは霧の中。導いてくれたのは、京都大学理学部のアドミッションポリシーにある「緩やかな専門化」のことばでした。京大理学部には数学、物理学、地学、化学、生物に関する5つの専攻がありますが、1、2回生ではすべての分野をまんべんなく学び、2回生の終わりに専門分野を選択します。このカリキュラムが私にぴったりだと思ったのです。

太陽とともに寝て起きる観測生活
 大学の数学は自分にはすこしとっつきにくく、生物と地学は高校時代に選択していなかったので、「物理系か化学系かな」と入学直後からぼんやりと頭にありました。授業をとおしてしだいに物理学に引き寄せられるなか、決め手は、はるか彼方にある天体の活動を追う学問、宇宙物理学と出会ったこと。地上からは点にしか見えない天体が、いまこの瞬間も活発に活動していて、望遠鏡をつかえばこの目で現象を見ることができる。これほどスケールが大きく、ダイナミックな研究分野があるんだとワクワクしました。
 なかでも、太陽の活動現象を解明する太陽物理学に興味をもち、本格的に研究がはじまる4回生からは、岐阜県高山市にある飛騨天文台での太陽観測に熱中しました。太陽観測が難儀なのは、雨や曇りの日には観測できないこと。京都からはるばる時間をかけて向かっても、1日、2日の滞在では晴れ間に出会えないことも多い。ほかの授業がない年末年始や夏休み、ゴールデンウィークをつかって1週間ほど天文台にこもるのです。
 観測相手は自然現象です。ようやく晴れて観測ができても、とくにおもしろい現象が起こらないこともある(笑)。そんな日や、天候がすぐれない日は気持ちを切り替えて、データ解析や観測装置の開発に没頭しました。ふだんは夜型の生活を送っていた私ですが、観測期間だけは規則正しい朝型生活になる(笑)。大学時代のいい思い出です。

京都大学の飛騨天文台から見た初日の出

夢は大きく、いつか宇宙業界をけん引したい
 大学時代の研究は、なにかに役だてたいというよりも、みずからの好奇心の赴くままにという姿勢の強いものでした。就職活動にあたって考えたのは、これまでとは違う新しいことに挑戦するチャンスだということ。「人の役にたちたい」という新たな思いを軸に据えました。もう一つは「ワクワクしたい」ということ。私がいちばんワクワクを感じられる宇宙技術の分野に携わりたいと、いまの会社に入社を決めました。
 三菱電機株式会社は家電から宇宙開発まで、幅ひろい事業を展開しています。宇宙事業において、人工衛星の開発は欠かせません。用途はさまざまですが、太陽活動を観測する「ひので」など、大学時代の研究と関わりの深い衛星も当社が開発している衛星の一つです。私が携わっているのは、人工衛星が取得するデータの信号処理や、画像処理のアルゴリズムの開発。まだまだ勉強の最中で、これからの数年間は戦える武器が身につくよう精進の日々です。宇宙技術は、あらゆる技術の最先端。第一線に関わっていることは仕事をするうえでの誇りです。いずれは宇宙業界をけん引する役割を担いたいと夢を描いています。
 ワクワクを探すには、「私はなにをしていれば楽しいのか」を知ることが重要です。学部はどうするか、専攻はどうするかなど、受験時は迷いがちですが、大学は入ってしまえば、あんがいどんなことも勉強できる場所です。物理学といっても、理論物理学、実験物理学と細分化されますし、さらには物理化学、生物物理学など、他分野と混ざる学問分野もある。迷ったままでもいい。あなたの興味が、進むべき道を教えてくれるはずです。

最近、ゴルフをはじめました!

イメージどおりに打てたときの爽快感はたまりません。年代問わずいっしょに楽しめるのも魅力の一つで、友人や、職場の上司・同僚と楽しんでいます。