News Letter 2024.11.15 第117号
京都大学・国際連合大学共催
シンポジウム「世界の中のジェンダー」12月2日(月)開催
京都大学と国際連合大学とが共催で、「世界の中のジェンダー」をテーマに、グローバルな視点からジェンダー平等について議論を深め、国際的な枠組みの中での日本の大学や学問研究の今後の展望を考えるシンポジウムを開催いたします。
ジェンダーバランスへの配慮が国際的に必須となりつつあるなか、活発な意見交換が期待される貴重な機会ですので、是非ご参加ください。
詳細はこちらをご覧ください。
https://www.cwr.kyoto-u.ac.jp/post-11250/
申込はこちらから。
https://forms.gle/7J37kM8eY9NE65Wz9
【病後児保育室】から【病児保育室】へ復帰のお知らせ
令和6(2024)年11月1日より、【病後児保育室】から、本来の【病児保育室】として開室することになりました。
それに伴い、利用条件も大幅に変更されましたので、ご利用の際は本ホームページ上でご確認のうえ、お申し込みください。
https://www.cwr.kyoto-u.ac.jp/support/care/sick/
育児・介護の休業明けのリスタートを応援します!
令和6年度より、『リスタートアップ研究費支援制度』を開始しました。
この制度は、出産、育児又は介護のため、休業等を取得し研究活動を一時中断せざるを得ない研究者に、復帰後の研究費(一律50万円)を助成する制度です。
初年度にあたる今年度は全件採択することができ、現在、研究が進められています。
申請時期は年2回あり、一度支援を受けた方も、支援を受けた休業とは異なる休業を取得された場合は、新たに申請可能です。
本制度の内容及び申請方等は以下センターHPに掲載しています。
https://www.cwr.kyoto-u.ac.jp/support/research/restart-up/
第17回京都大学たちばな賞(優秀女性研究者賞)応募者募集
京都大学たちばな賞は、優れた研究成果を挙げた本学の若手女性研究者を顕彰することによりその研究意欲を高め、もって将来の学術研究を担う優秀な女性研究者の育成等に資するために、2008年度に創設されました。
※応募要項の詳細や提出書類については、京都大学HPをご確認ください。
(日本語)https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/resource/grant/
tachibana
(English) https://www.kyoto-u.ac.jp/en/research/support-
scholarship/young-researcher/tachibana
女子学生チャレンジプロジェクト中間交流会
「女子学生チャレンジプロジェクト」では、今年度採択されたチームが今年7月から研究に取り組んでおり、9月30日(月)に中間交流会を実施しました。
(女子学生チャレンジプロジェクトとは:https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/education-campus/Recognition/w-challenge)
中間交流会は、チームを超えた交流の場をつくることで、情報共有やチーム間のネットワークを構築することを目的として、今年度採択された学生による企画で実施されたものです。小人数のグループに分かれて交流を深め、最後に京都大学キッズコミュニティ(KuSuKu)の見学も行いました。
参加者からは、「他の参加者からアドバイスをもらって参考になった」「自分のプロジェクトを進めるモチベーションにもなった」などの感想が寄せられ、今年度採択チームが今後の研究を進めるうえで貴重な機会となりました。
「京からあすへVol.5 」発行のお知らせ
男女共同参画推進センターの機関誌『京からあすへVol.5』を発行しました。卒業生の社会で活躍する姿や在学生の留学体験記などを紹介しています。
また、巻頭に前年度から始まった「女子学生チャレンジプロジェクト」についての特集が掲載されていますので、ぜひご覧ください。
https://www.cwr.kyoto-u.ac.jp/kyo_asu/kyo_asu_vol5.pdf
連載: 研究者になる! -第96回-
理学研究科 助教 今田 弓女
ものごころついたころからとにかく虫が大好きで、ついたあだ名は「虫博士」。動物園に行っても、パンダよりも笹にくっつく虫ばかり見ているような子どもでした。図鑑が愛読書で、小学2年生のころには研究者を夢見るように。いっぽうで「チョウの研究者は多いから、よりマニアックなガの専門家になろう」とひねくれたところもありました(笑)。
昆虫にかぎらず幅広く学びたくて、京都大学理学部に進学。野生生物研究会で国内外に調査に出かけたり、自主ゼミで仲間と議論したりと、まさに青春でした。その後の進路を決めたのは、花と虫を中心に生物を幅広く研究する加藤真先生との出会い。一回生の春に加藤先生とお会いする機会があり、「ガが好きです」と伝えると加藤先生の目が嬉しそうに輝いて(笑)。ここぞとばかりにガに関する研究テーマや書籍を紹介されました。
■生態学にのめり込むも、自問自答の日々
出会った日に加藤先生から言われたのは、「昆虫を知るには植物を知るべし」。植物を理解することはすなわち環境を理解することで、生態系の一部である昆虫を研究するなら植物の理解が欠かせないと知り、昆虫の世界が鮮明に目の前に開けるのを感じました。生物同士の関係を調べる生態学という学問との出会いでした。
そこからは植物と昆虫の相互作用の研究にのめり込むように。コケを食べる原始的なガであるコバネガを追ってコケの生い茂る森や林に分け入り、ガを持ち帰っては研究室でDNA の塩基配列を解析する日々。学生時代はとにかく無我夢中で、苦しさのほうが大きかったです。マニアックな研究をしている自覚があるいっぽうで、「生き物が好きだから」という情熱だけで邁進できる性格ではなく……。「この研究にはどんな意義があるのか」とつねに自問自答していました。
■飽くなき探究心は鳥や化石へ
研究が純粋に楽しいと思えるようになったのは大学院を修了し、教員になってから。学生時代には手の届かなかったテーマも扱えるようになり、現在は鳥類の研究にも挑戦しています。じつは鳥類の約20%がコケを営巣に利用しています。鳥がコケの断片をついばみ、体表に付着したコケが運ばれて、コケの分布域の拡大に一役買っているのではないかと考えています。視覚も知能も優れた鳥は陸上の生態系にとって重要な役割を担う存在。知れば知るほど疑問が湧いてきます。
現存する生物の生態を理解するには、進化の時間軸も欠かせません。そこで化石にも学びたいと、2017年から1年間はアメリカのスミソニアン博物館に留学。これが人生の転機でした。新しい分野に挑戦したつもりが、「これは潜葉虫の食べた跡だな」と、昆虫や植物を野外で観察してきた経験が化石の研究に生かせることに気づいたのです。これまでの努力が報われ、自信に変わった瞬間でした。
■理想の環境を求め、狭き門より入れ
進路を考えるうえで、「こうなりたい」という理想像が誰しもあると思います。そのための一歩は理想を言語化すること。言葉にすることで、「では、どうすればいいか」と問いが生まれ、本を読んだり、だれかに話を聞いてみたりと、具体的な行動につながります。
もう一つ重要なのが環境です。人間関係や環境が変れば、自分もまたおのずと変化するもの。したいことがまだ見つからないなら、「あの場所の一員になりたい!」という理想の環境をめざしてみてください。狭き門をくぐるには努力は必要ですが、きっと新たな自分に出会えるはずです。