News Letter 2024.5.15 第114号
2024 年度ILAS セミナー:ジェンダー論 開講
人間・環境学研究科 石岡 学 教授の2024年度「ILASセミナー:ジェンダー論」が4月10日(水)より開講しました。
「ジェンダー論」では、ジェンダーに関する基礎的な知識を獲得し、ジェンダーに関わる諸問題への理解を深めることを目指し、受講生の報告とそれに基づく討論をメインとする形式で行うことで、報告や討論の技術をみがくことも目標としています。
日程:4月10日(水)〜7月10日(水)
時間:毎週水曜日 5限(16:45〜18:15)
全学共通科目 2023 年度「ジェンダー論」講義動画 公開
2023年度の全学共通科目「ジェンダー論」の講義のうち、下記の8 つの動画をセンターホームページにて公開しています。どうぞご視聴ください。https://www.cwr.kyoto-u.ac.jp/gender/online/
京都大学男女共同参画推進事業
令和6年度「女子学生チャレンジプロジェクト」
京都大学では、ダイバーシティ&インクルージョン推進の一つの取組として、研究活動においても、女子学生が今よりもましてリーダシップやイニシアティブを発揮できる環境づくりを目指しています。
本事業は、女子学生が、自らの好奇心や探求心を核としつつ、自分とは異なるさまざまな視点から議論し協働するプロセスの経験を通じて、研究の面白さに気づき、新しい課題にチャレンジする活動に奨学金を支給します。
令和6年度の募集は2024年5月13日(月)をもって終了しました。今後は応募者の中から、学内の選考を経て、今年6月末(予定)には支援対象者を決定することとしています。
令和5年度「女子学生チャレンジプロジェクト」成果発表会
3月27日(水)に学術研究支援棟にて令和5 年度「女子学生チャレンジプロジェクト」の成果発表会を行いました。
はじめに、蓮尾 昌裕 理事補から、プロジェクトに協力いただいた京都大学鼎会や京都大学ここのえ会へのお礼の言葉を交えたオープニングの挨拶があり、続いて2023年7月から2024年2月までの活動内容や成果について、採択された6チームより発表がありました。
発表会はライブ配信も行い、学内外から多くの視聴者がありました。また、発表後には質疑応答も行われ、参加した教員や学生からさまざまな質問もあり、チームの学生が丁寧に答えていました。
稲垣 恭子 理事からは、選考経緯に関する報告や講評があり、「今回の研究プロジェクトとしてだけではなく、さらに社会的活動や社会貢献となる展開に育てていっていただければなと思っています。京大からこうして新しい研究の芽が育っていくことをとても心強く感じています。」と更なる活躍を期待するエールを送られ、和やかに発表会は終了しました。
各チームの成果発表会の様子はHP で公開していますので、是非ご覧ください。
https://www.cwr.kyoto-u.ac.jp/story/w-challenge/w-challenge2023/
「京からあすへVol.4」発行のお知らせ
男女共同参画推進センターの機関誌『京からあすへVol.4』を発行しました。女性研究者の素顔や社会で活躍する卒業生の姿、充実した大学生活を送った在校生の姿などを紹介しています。
また、巻頭特集では京大学童保育所「KuSuKu」オープン記念企画の「設計建築士と学生の座談会」の様子を掲載しています。是非ご覧ください。
https://www.cwr.kyoto-u.ac.jp/about/publications/kyou_asu/
保育園入園待機乳児保育室「ゆりかご」 2023年度卒園式
3月29日(金)9時30分より、保育室にて卒園式が行われ、Zoomを使ってライブ配信されました。保護者の方や兄弟が見守る中、保育士から歌やメダルのプレゼントをもらったりと笑顔あふれるひと時となりました。2023年度「ゆりかご」から10名の園児が巣立っていきました。卒園おめでとうございます!
本年度の利用を希望される方は下記URL をご覧ください。
「ゆりかご」
https://www.cwr.kyoto-u.ac.jp/support/care/nursery/
「ゆりかご(一時保育)」
https://www.cwr.kyoto-u.ac.jp/support/care/temporary/
連載: 研究者になる! -第95回-
防災研究所 助教 仲 ゆかり
高校時代の私には、これといった夢や目標はありませんでした。「環境問題」というぼんやりとしたテーマを掲げて京大農学部に進学しましたが、そんな姿勢ですから授業の内容にどこかのめり込めない自分がいたのです。「いちど選んだ道は変えられない」と思い込み、悩んでばかりの大学1 、2回生を過ごしました。
入学した学科で扱う環境問題は、森林資源や食料問題など、社会や経済も絡んだ資源面が中心です。いっぽうで環境問題には、温暖化のメカニズムの解明など、地球全体の動きを見る地球科学的な側面もある。私の興味はこの側面だったのだと、ようやく気がついたのが3回生のころ。周囲が就職活動に励むのを横目に、大学院進学を視野に入れて研究室探しをはじめました。卒業後は就職するつもりでしたが、迷いばかりの大学生活で、「これを身につけた!」と言えるものがないことが心残りだったのです。
■意を決して、大学院での方向転換
地球科学といっても、研究対象は大地、火山、海洋、鉱物など、幅広いです。なかでも私は、大気や気象などの空の動きに惹かれるものを感じていました。理学部の授業にもぐり込んだり、「京都大学/気象/大気」の用語で検索して出てきた研究室に見学を申し込んだり、自分の目と耳と足で、ぴったりくる居場所を模索しました。
そうして出会ったのが、現在も助教として所属する水文気象災害研究分野です。研究対象にしたのは梅雨前線と線
状降水帯。線状降水帯は列をなした積乱雲が数時間にわたってほぼ同じ場所に雨域をつくり、強い雨を降らす現象で、梅雨期によく発生します。
発生には水蒸気の量や風量など、偶然性の高い複数の要素が絡むので、メカニズムの全貌はまだまだ未解明。ゆえに予測が難しく、各地で想定外の豪雨や災害をもたらしています。現象が局所的で観測では捉えづらいこの現象に、データ解析やシミュレーションを駆使して迫ります。
大学院進学を選んだ時点で、研究職や専門職に進む覚悟を決めていましたが、背中を押した決め手は研究に夢中になれる自分を発見したこと。データの解析から検討、さらにはグラフの書き方一つとっても、すべてが新鮮で楽しかったのです。「私はこれがしたかったんだ」と、それまでの迷いを忘れて没頭しました。
■ぶれない芯さえあれば、まわり道も恐くない
防災研究所には、河川や海岸、火山、避難活動などの多様な専門家が、「防災」の名のもとに集っています。研究室の上司からよく言われたのは、「雨だけを見るのではいけない。そこで暮らす人たちや社会の幸せを考えなさい」ということ。理論研究のさきにある、現実を生きる人びとや社会を考えることは私たちの研究に不可欠です。平均気温が上昇し、線状降水帯の発生頻度が増えれば、暮らしにさまざまな影響がでるはず。発生のメカニズムを解明し、集中豪雨の発生の変化を予測することで、私たちはこれからどのような社会をつくるのか、考えるための材料を提供したいのです。
研究者としてのこれからの選択を考えて悩むことがありますし、将来は想像もつきません。でも、一つ確かなのは、次の世代にべんりで安心・安全な環境をつなぎたいという思い。まわり道をしたとしても、この芯さえぶれずにもっていれば、納得のゆく道を歩めるはずだと思っています。
若いときは先が見えない不安から、いちどの判断が人生を決めてしまうと思いがち。でも、選択したら終わりではありません。失敗も遠回りも恐れずに、いま信じているベストな選択をしてください。